2007年08月28日
「海力」 大阪・緑 寿司
大阪環状線・森ノ宮駅から東へ、緑橋方面に進むとなだらかな坂道となる。中腹の南側に「海力」と書かれた暖簾が見える。
この店を知ったのは6年程前のこと。「トラットリア・パッパ」の松本喜宏シェフから「面白い寿司屋さんがあるんです」と教えられのがきっかけです。ほどなくして「あまから手帖」の寿司特集があり、編集者とともにロケハンにでかけました。おそらく二三貫食べたところで、「これはいけますね」とお互いに頷きあったことを今でもしっかり覚えています。
江戸前の仕事をした寿司でもなく、かといって関西の新鮮なネタを寿司飯と合わせたタイプでもない。大将・金田大志さんの個性が強烈に光っていた寿司でした。
それは、大将がすべてのネタになんらかの調理を施す。食べる側が、自ら醤油を塗ることはない、というスタイルでした。
内容はどんどん進化します。
いつも大将にお任せで握ってもらうのです。
平目の昆布締め
昆布の甘みと平目の旨み。
さくらの炙り
馬肉の炙り。こうね(たてがみの下の脂)の脂分が馬肉に旨みを添えます。
天然シラサエビのおどり
まだ身がぴくぴくと動いています。
活け鱧の炙り
さっと炙ったところで醤油をかるく。いい塩梅です。
新子
コハダが小さいので三枚重ね。酢の締め具合がほどよいのです。
エビの頭
先ほどのおどりの残り。
イカうに
これぞこのコースのきっかけとなった寿司。イカとウニが好きな客がいて、それじゃ一緒にということで生まれた寿司です。剣先イカに淡路の赤うに。
活けほたて
塩と振り柚子で完成です。
きんきの炙りと肝
肝がとけてその甘みが旨みに変わってゆきます。
富山の白えび
白エビの甘みがたまりません。おかわりしたいぐらいです。
生本マグロのづけ
づけは香りが勝負です。
活けズワイガニ
身をほぐして、凝縮させるのが技。
徳島・阿波のアワビ
肝をソース変わりさす。
あなご
あなごのややカリッとした食感を好む人も多い。
ばくだん
オリジナル。ネギトロ状態にタクワン、数の子が入る。それぞれの個性をだしながらまとまりは見事です。
太刀魚のあぶり
これも見事な逸品です。
すじこの醤油漬け
手で食べるのですが、そのぴちぴちした感触がたまらなかったのです。
トリガイの炙り
これでぐっと甘みが増してゆくはずです。
ここまで一切醤油をつけることなく食す。一つひとつに金田さんの思いがみっちり詰まっています。
それと大将との会話がじつに愉しい。いろんな話題を提供しながら、カウンターの雰囲気を和らげてゆくのです。
海力
大阪市東成区中道2-4-4
06-6974-1239
投稿者 geode : 07:24