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2013年02月05日
「マニアナ」 今治・常磐町・ジャズ喫茶
「翼の王国」4月号の取材で愛媛県今治市に出かけました。
その途中で訪れたジャズ喫茶「マニアナ」です。
取材先のご主人から
「おそらく四国でいちばん古いジャズ喫茶じゃないですか」と聞きました。
カウンターのみ。
そこに座り珈琲を注文しました。
ターンテーブルの上を回っているレコードは、ポール・デズモンドです。
大きなスピーカーから流れる音がクリアでかつ温かみがあります。
一気に記憶が40年以上も前にさかのぼります。
京都の蹴上に「カルコ20」という伝説になったジャズ喫茶がありました。
まだ、京都に市電が走っている頃のこと。
京阪三条から地上を走る京津線にのって蹴上で降り、時たま訪れたものです。
大きなガラス貼りで店内が外から見えるのです。
スタイリッシュなマスターとマダムが2人で店を仕切っておられました。
なぜかその店の情景が蘇ってきたのです。
マスターがぽつりぽつり話し始めました。
御年75歳。
ジャズ喫茶歴も50年を迎えようとしているとのことです。
「昔は今治に何軒もジャズ喫茶がありました。
松山にもかなりあったんですが」
「今治では年に一度、今治ジャズタウンというイベント行われます。
猪俣猛さんが、いつもリーダーとなっていろいろなゲストを連れてきてくれるのです」
などなど、今治のジャズ事情を話してくれました。
レコードが、ミルト・ジャクソンに変わりました。
柔らかなビブラフォンの音色が、気持ちを和らげてくれます。
マスターがカウンターの中でおもむろにパイプを取り出し、
火を点けます。
ゆったりと燻らすという感じです。
「だいぶ前に身体を壊して、
それ以来紙巻タバコからパイプに変えたのです」と。
オーバーオールにキャップ、
そしてパイプを燻らす姿がなんとも様になっているのです。
カウンターの隅にはパイプのコレクションが置かれています。
壁面を見ると古い写真があり、
バイクに乗っているマスターの勇姿もありました。
「クルマも好きでね。
東京日帰りという無茶もありました」と微笑みながら話すのです。
自分の好きなことだけを淡々とやり続けてきた人生。
そんな優しいオーラに包まれたマスターです。
レコードが世良譲に変わりました。
このアルバムがなんとすごくスイングするのです。
世良譲のピアノがこんなにスイングするんだという発見もありました。
午後からの取材が決まっており、店をあとにしましたが、
時間が許せば、もっと長い時間をここで過ごしたいと思ったものです。
「マニアナ」
今治市常盤町4-4-4
0898-32-3392
投稿者 geode : 01:20