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2020年07月15日
「HAKKEI」 神戸・加納町・創作料理
料理は、どんどん越境傾向にあり、進化が著しい。
シェフがどこに軸足を置くかが興味ふかい。
神戸に今年の1月オープンした「HAKKEI」はかなり面白い存在である。
1月下旬にオープンしたが、ビルのトラブルで再度工事。
それが無事終わりいよいよ営業というところでコロナ発生、
結局6月後半のスタートとなった。
そんな想像外の事象にもめげず、
シェフのウエヤマチイさんは、29歳という若さで果敢にも料理を作る。
パティシエを5年、その後「大渡」「呂色」で各1年。
その経験をふんだんに生かした仕立てになっている。
軸足は日本料理と神戸である。
カウンター吹き抜けという空間も素敵だ。
バジル茶から始まった。
胃袋が臨戦態勢を整える。
突き出しはモナカ
弓削牧場のフロマージュサレの味噌漬け、カタバミ、ミツバなど日本のハーブ
青柚子、赤酢でマリネされたトマトなどが入る。
五味の全てを感じる印象的な一皿。
フォアグラのテリーヌは日本酒でマリネ。
日向夏の玉味噌、ぬた和え、シナモンのチュール。
食感と香りの多彩なこと。気分が高まる。
丹波の夏鹿 オスだという。
りんご、わらび、大根おろし、フリーズドライの原木椎茸。
香りと味が凝縮する。
梅のフレーバーが漂い、蠱惑的である。
淡路の猪豚を使ったコンソメ。
こんにゃく、ジャガイモ、ニンジン、玉ねぎのしんじょ、菊花オイル。
淡路島を表現する一椀。
スキッとしたキレがいい。
丹波「ヒヨリ ブロート」のパン。
添えは、なんと豆腐という斬新さ。
ホタテは低温調理で半生状態。
そこに昆布とアスパラガスのジュレ。
わさびの軽やかな刺激とナッツの香ばしさの饗宴。
播州穴子の八幡巻。
味を含ませたゴボウにおかひじき、穴子を巻き、コロモをつけベニエにする。
ベニエ生地は黒ビールで発酵させる。
生地に独特の食感が生まれる。
画像はないのですが酒造好適米の炊き込みゴハン。
これは蛸飯。
津居山のグジの炭火焼
下には揚げ浸しのシルク茄子。もろみに大徳寺納豆。
焼きの技術が鱗の香ばしさと食感を生み出す。
濃厚にして味わい深いもろみ味噌のペーストとの相性がまたいいのだ。
水餅だとシェフの説明。
シェフの経歴が生きる一品。
マイヤーズレモンのソルベ、紫蘇と赤ワインのシロップ。
スッキリした味わいに気分も和らぐ。
田村牧場のサーロイン。
割り下で3日間漬け込み、味を乗せる。
この火入れで脂はゆっくり溶ける。
香りも旨みも増強である。
白菜は漬物にする。その酸味との出会いも素敵だ。
ナメタケのピュレ、山椒オイルでコンフィした卵黄のコク。
一口ずつ味わいの変化が楽しめるが、着地はすき焼き。
この柔軟な発想が頼もしい。
丹波の黒豆を煮出し、エスプーマ。
塩麹のクリーム、スダチのグラニテ、八角のスクランブルなど
多彩な構成でありながらまとめる力がすごい。
ショコラはバローナと安納芋のきんとん
若鮎はココナッツ風味のクリームとブルーベリーのコンポート。
カキドオシのお茶で締める。
シェフの個性は満開。
これからどう食材と戦って行くのかすごく楽しみだ。
「HAKKEI」
神戸市中央区加納町4-8-17
078-515-6522
投稿者 geode : 01:11