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2007年10月29日

「創作中華 一之船入」   京都・河原町御池    中華料理

高校の同級生(公務員)、数寄者、アートディレクターに僕と、4名の男性が集まった。
奇妙な縁である。数寄者とアートディレクターは、随分と前に面識あり。同級生は、その二人とは初対面である。僕も、それぞれ久し振りの邂逅。夕刻、京都ホテルオークラのロビーに集合。近くの「創作中華 一之船入」の予約には一時間あり。寺町二条のバーに移動。約一時間、美術というか芸術・芸能の話がいきなりスパークする。のっけから濃密な時間が流れてゆく。

「一之船入」二階の座敷へ。
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料理はお任せにしました。
突き出しは定番のピーナッツとジャコ炒め。
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話はバーの続きで、日本美術史。岡倉天心やフェノロサなどが登場します。東京芸大より京都芸大のほうが10年歴史は古いなど、種々の話題が飛び交う。茶の湯について海外から多数の研究者が訪れ、そのなかに認知科学の見地から面白い分析がなされている、とか。

上海蟹の老酒漬けが届きました。
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旨い!と声があがり、しばし無言状態が続きます。味噌と老酒の絡み、旨みと酸味、まさにしゃぶりつくという表現がぴたり。
食い物を前に、話は中座。蟹の威力です。

日本画についての話で「骨書き」という言葉が飛び出す。書と絵画では意味合いが少し異なるようだが、絵画では細い筆で輪郭を描くこと。これを鉛筆で行うのとは、かなりの差が生まれると。筆の力は、時折筆を使っていると実感として分かります。

次に出たのが
衣笠茸とパスタを使った中華風サラダです。
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イタリア料理にヒントを得た料理長が生み出した料理。
これは食感が、中華料理にはないもので意外な印象を受けたが、サラダとして考えれば見事な一皿です。

東京芸大が岡倉天心なら、京都には浄土真宗本願寺派(西本願寺)の第22代門主・大谷光瑞がいると、数寄者。大谷探検隊や伊藤忠太という建築家など話題は広がるばかり。

そこにフカヒレが登場。
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一瞬視線が釘付け。
この大きさに繊維の太さ。料理長は「ラーメン替わりに食べてください」と笑みを浮かべながら・・。ソースにはウニと東頂烏龍茶、白菜、金針菜が入る。ここでまた無言の行です。驚きと感激の繰り返し。

日本人論に話が及ぶと、これはさまざまな角度からの考察。江戸時代から明治に差し掛かる時と第二次世界大戦という機会。日本が西洋から大きな影響を余儀なく受けるときである。そこで僕達の生活はもとより、相当の変化が起こったことを認識する必要あり、とこれには同意。

焼売です。
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ぷりぷりの焼売は、むっちり。
フカヒレの次にこの点心は料理人の技です。

数寄者は平家の落ち武者の地と柚子の関係について話す。これは焼き畑農業など、稲作文化とはちがった発展があり、そこには固有の文化が根付いてゆくという意見。興味深い意見です。

特大大正海老とポルチーニの上湯煮込み。
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ここで再び上湯の旨みを味わう。ホント料理長の押し引きの計算は素晴らしい展開です。

黒米のちまきです。
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中に豚肉が入るのですが、チーズが利いています。

乳化のスープ。
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これは白菜と豚肉。この旨さは格別です。まったくほとんど脂分を感じることなく、その技には脱帽です。

杏仁豆腐。
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これで締めですが、話は止まりません。
マルセル・デュシャンとセザンヌの関係。光悦や宗達など、話題は留まるところを知らずで同級生は「なんか高校生の時に戻ったような感じ」とこの熱気について話した。
しかし、これも料理の旨さがあってのことでしょう。この関係性も重要です。

創作中華 一之船入
京都市中京区河原町二条下ル一之船入町537-50
075-256-1271

投稿者 geode : 06:30