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2008年12月01日
「サトウシンイチ」 大阪・土佐堀・フランス料理
パリ在住の料理人・佐藤伸一さん。
彼はいまパリで出張料理人として現地で仕事を続けています。
「アストランス」では「カンテサンス」の岸田シェフの先輩で
同時期に厨房にいたことがあります。
また「ミシュラン」で一つ星を獲得した
「あい田」の相田さんとは旧知の仲で、
よく3人で料理談義を戦わせたということです。
そんな佐藤伸一さんが一時帰国。大阪で一夜晩餐ということで集まりました。
会場は大阪・土佐堀の「トゥールモンド」。
シェフの高山さんはパリで一緒に市場巡りをしたことがあります。
前日にパリから帰国、そのまま「トゥールモンド」で試食、
翌日朝から仕込みというスケジュールです。
厨房ではエプロンを着た「トゥールモンド」の高山さんも
緊張感とともに仕事をしています。
スタートはブロッコリーの先をつまみ、下はそのムースです。
最初からやられました。この発想は見事ですね。
二品目は仔牛と生かきです。
仔牛はフランス産、かきは北海道の昆布守です。
かきは相当に濃厚、しかしそれにまけない仔牛の香りがあります。
かきの持つミネラルと仔牛のミネラルが饗宴です。
テーブルを囲んだフランス人シェフは「この仔牛の味、いいですね」と。
三品目はたいらぎ貝のクレソンソースです。
たいらぎ貝は日本のもの。佐藤さんにとっては初の素材です。
じんわりと甘味がわき出てくるのです。
四品目はチュルボのキャベツ添えです。
チュルボ、こちらでは鮃といわれますが別の魚です。
これはフランスではよく登場する魚です。
この火入れは低温でゆっくりじっくりというスタイル。
切り口が虹色に輝くというものです。チュルボの旨みは堪能です。
五品目はあんこうのローストです。これもまたチュルボ同様の火入れです。
なんともゆったりとした食感に味わい。
このあんこうもフランス産、
日本で食べるあんこうとは全く印象が異なりました。
ローストしての旨さを感じました。
六品目はタマネギのロースト。
タマネギは長時間火入れし甘味を出し、一枚ずつはがし、
そこにトリュフピュレをぬり、再び元の形に戻すのです。
これは誰が食べてもおいしい料理。
しかしその手間とタイミングは見事なものです。
七品目は仔牛のロースト。ラクレットとジャガイモ添えです。
これも一度火入れした仔牛を、
火からはずし余熱でゆっくり火入れをしてゆきます。
仔牛も旨かったのですが、横に添えてあるラクレットの刺激も素敵。
八品目は仔羊のロースト。焼けた断面の美しさ。これは技術です。
仔羊の香りが生きていました。
デザートはフレンチトーストとキャラメルのアイスです。
というようなコースでした。
帰国二日目というハンディを持ちながらの宴でしたが、
完成度は高いものでした。
参加者からの意見は、料理の素晴らしさを充分に認めた上で、
低温調理された料理が続くことに対する課題が呈されたのでした。
どうしても肉類に対しては、
表面がカリッと焼けた食感と
中のジューシィさの差異に旨みを見つけることに慣れている食べ手なのです。
ここには世代という感覚の相違もあるかもしれません。
「今回はフランスのチュルボや仔牛、仔羊のチャーミングで
エレガントな味を知ってもらいたい」という佐藤さんの思いもあったのです。
次回は日本の食材をもっと使った料理を作ってもらいたい、
作りたい、というところで宴は終焉を迎えました。
非常にエキサイティングな経験をしたのでありました。
会場:トゥールモンド/大阪・土佐堀
門上武司食研究所サイトに
10/10 付、
☆『海外通信』Paris 通信 Vol.13
コルシカ
公開しました。↓
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www.kadokami.com/
その他、
☆「名店の賄い」
第四回 「ショコラティエ なかたに」
☆『マスターソムリエ岡昌治の「心に残る今月の一本」
Vol.7「Ch. Lagrange ’01 (シャトー・ラグランジュ)」
☆「京都・名酒館 主人 瀧本洋一の『旨酒』」
Vol.4「野飲の醍醐味」
☆今月の「学会」レポート
2008年4月度「第64回 パトゥ」
も公開中。↓
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投稿者 geode : 02:43