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2016年06月17日
「老松 喜多川」 大阪・西天満・日本料理
「老松 喜多川」にはカウンターと個室がある。
今回は、男性5名女性1名の会食ゆえ、個室を選択した。
これまでカウンター主体の店ばかりであったが、
近頃個室情報を要求されることが多い。
今回のような初対面の会食では、個室がありがたい。
カウンターでのライブ感はないが、
むしろ料理に対して皿の中にだけ集中することもあるのだ。
もちろん、会話が主体にはなってしまうが・・・。
突き出しは、ずんだ豆腐、アワビ、山葵酢、ジュンサイなど。
これは食感が数種類、五味の散りばめ方など、緻密な計算が行き届いた一皿であった。
椀はアブラメにずいき、おくらのすりながしである。
季節感が全面にでていた。
造りは甘手かれい、その肝とえんがわである。
一つの魚のバリエーションを楽しませてくれる。
かつおは藁で燻されたもの。
薫香にちかい香りの刺激が、ぐっと脳髄に達するような感覚。
かつおはたたきでサーブされることが多いが、
そのラインをはるかに突破する微妙なニュアンスが伝わってくる。
黄ニラ味噌の働きがかつおの本性を誘いだしてくるようだ。
まぐろのにぎりだ。
まぐろの上にはあけがらしがのり、それを海苔で巻いて食べる。
自ら手で巻いたという感覚と感情が、まぐろのにぎりに新たな価値観を与えるのであった。
トリ貝ではスナックえんどうの唐揚げ、
長芋、辛子味噌などが一皿に盛り込まれている。
カレイ、かつお、まぐろと続いた造りのあとに、
やや複雑な構成を仕掛ける。
食べ手の胃袋の刺激と、こころの揺曳を反映しているようなものだと思った。
そして毛がに、大間のウニ、金時草に土佐酢のジュレだ。
どんどん攻めてくる。
料理は一瞬の勝負だが、これまでの流れの中で出される一皿としては、
旨みのオンパレードをなんなく受け入れる状況を作り上げている。
鰻は、一寸豆と一緒に出てくる。
一気に高みに昇った気持ちを持続させる鰻の力に、食べるリズムが支配されたようである。
再び椀では、鱧と水茄子、三度豆に黒コショウだ。
まさに季節で押してくる椀物である。
鱧のふくよかさ、包丁技の明確な冴えを感じる。
水茄子は自ら持つ水分と旨みが見事な調和をみせる。
黒コショウの有無は大きい。
甘鯛と壬生菜の炊きこみご飯である。
この迫力あるビジュアル。
それを見るだけでもテンションが上る。
ごはんに一粒ひと粒に甘鯛のうま味が浸透する。
口中で香りが開花してゆく感じがまばゆい。
デザートは抹茶のアイスクリームとマンゴである。
抹茶の香りが鮮烈だ。
神経が行き届いた一皿。
思えば、引いたという料理がなかったような気がする。
それならば、もっと積上が感を感じるのだが、
むしろ楽しみとゆとりを戯れたといったほうがいいかもしれない。
まさに喜多川さんの術中のハマってしまい、遊ぶことができたというべきであろう。
「老松 喜多川」
大阪市北区西天満4-1-11
06-6361-6411
投稿者 geode : 01:09