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2016年06月20日
「リュミエール」 大阪・東心斎橋・フランス料理
「リュミエール」唐渡シェフが東心斎橋で、開店してほどなく10年を迎える。
個室があるレストランが少ない中、貴重な存在。
個室にて男性3名、ミーティングを兼ねてのランチ。
唐渡シェフは野菜をいかに楽しくおいしく食べさせるかを常に考え、
新たな世界観を作り上げたのだ。
スタートは店名ともなった「リュミエール・色彩」である。
天然車海老の瞬間キュイと烏賊の手毬り
野菜の乳化ソースとチアシードの食感。
オーバル型の皿に散りばめらた料理。
野菜と魚介のハーモニーが見事な絵画を描いているようだ。
そこには、幾何学的な美しさや食材に対する尊敬や、
一瞬にして造形美が失われてゆく危うさを感じることもあるのだ。
それは食べる側の思いの深さによって変化する、などと考えながら食べていたのだ。
近頃は珍しくなったスタイル。
以前は、フランス料理店の定番の形であった。
シャンピニョンと読んでいた。
緑泉と呼ばれるスープ。
黒鮑を54℃で3時間低温調理。
丸ごとパン包み焼きして旨みと香りを一緒に閉じ込めて・・。
まずは、パンの蓋を取る。
グリーンが目に飛び込んでくる。
インカのめざめなどが入った液体。
続く長皿は貝類の饗宴である。
下からはまぐりにセモリナ粉をコロモとして揚げたもの、
黒鮑、ホッキ貝、ミル貝、平貝と続く。
食感も甘味もすべて異なる。
それが重なりあって、一つのイメージを作り上げるのだが、
そのプロセスやモチーフが楽しき印象を与えてくれる。
蟹器
毛蟹の器に閉じ込められた北海道直送の活〆鮮魚(この日はアイナメ)
甲殻類のエッセンスと一緒に熱々のスタイルで・・。
毛蟹の中にアイナメや蟹身が入る。それだけでテンションは上る。
かつ下には熱々の石。そこに魚介のソースを流すと音を立てる。
料理から発する音。それがまた転機となって食欲を刺激する。
ソースが蒸発し甲殻類の香りが鼻腔に媚薬を塗りこんだような感覚を与える。
メインは「閉じ込められた旨味」でチョイス。
天草梅肉ポークを選んだ。
これまた火入れの妙を愉しむことができた。
豚肉の火入れが、これまでよく火を通すことというのが定説となっていたが、
この絶妙の火入れには唸ってしまった。
そして野菜のデザートは、小松菜のピュレ、セロリのアイスクリーム、
ごぼうのキャラメル、大根、根セロリ・ココアのブランマンジェなどが
渾然一体となって野菜でないと成し得ない味わいを作り上げ、
スプーンが何度も止まり、それを失うのが惜しい気分となった。
エスプレッソ。
小菓子も華やかでありながらはかないのだ。
徹底して野菜の使い方を考えた結果のプレゼンテーションに時間を忘れ、
戯れていたのであった。
「リュミエール」
大阪市中央区東心斎橋1-19-15 UNAGIDANI−BLOCK 3F
050-5799-4344
投稿者 geode : 01:30