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2017年01月13日
「ごだん宮ざわ」 京都・東洞院万寿寺・日本料理
「ごだん宮ざわ」の「ごだん」とは茶懐石のあとにさらりと食べる食事のことを意味するようだ。
店内は個室とカウンターに別れる。
個室もカウンターなので、その空間に惹かれる人たちも多い。
この日はカウンターであった。
女性の一人というお客さんもありカウンターの景色はバラエティに富んでいた。
カウンターはつねに凛とした設えなのだが、そこに宮沢さん始めスタッフが行き来することで独特の柔らかさが出て来る。
そして料理の始まり。
甘鯛の蕪蒸しである。
ご挨拶の一献を傾け、蕪蒸しに移る。
器が華やかで、新春を寿ぐ。
甘鯛の味わいを優しく包み込む蕪。素敵な塩梅だ。
椀物は伊勢海老と海老芋・菜の花の白味噌仕立て。
京都の正月は白味噌。伊勢海老と海老芋、めでたいものつながり。
この伊勢海老の存在が大きい。味わいが鮮烈、噛むと味がじんわり滲んでくる。
塩味噌の加減も最適である。
造りはカンパチ。
2日ほど寝かしたカンパチに出汁のジュレ(葛でとめた)と鬼おろしの大根おろしにわさび。脂の乗ったカンパチをまろやかに味わう。
焼き物はまながつおの味噌漬け。
この器が秀逸で、そこにまながつおが映える。
器との調和が見事。これは宮沢さんの感覚によるものだろう。
下仁田ねぎの焼き胡麻豆腐 セコガニのあん。
これは名物・焼き胡麻豆腐のアレンジ・季節ものだ。
焼き胡麻豆腐はたしかにねぎの香りが漂う。
セコガニのあんもコクを添える。
愉しい逸品だ。
自家製カラスミの飯蒸し。
色合いが優しく、オレンジに近い。それがもち米の上に乗る。
カラスミは柔らかく箸がすっと入る。それとともにもち米を食べると
カラスミの味わいともち米のネットリ感が見事に引き立てあう。
カラスミの控えめな塩分濃度がうれしい。
クエの唐揚げ。
これも味わい凝縮タイプだ。
赤なまことこのこの酢の物。
さっぱりした酸味で、気持ちを一旦和らげる。
このメリハリの付け方も見事である。
炊合せは聖護院大根・堀川ごぼう・ニンジン・うずらのつみれ・針柚子。
うずらのつみれも食感がプチっとしたりで愉しい。
一つの鉢でまあるい味わいが生まれた。
香の物がたっぷりあるのがうれしい。
炊きたての白いご飯は甘みが充溢で、ごちそうだ。
二膳目は香りはぐっと立ってくる。
最中は皮を温めているので香ばしさが素敵。
紅まどんな(オレンジ・愛媛) ゆうべに(イチゴ・熊本)
どちらの果物も甘味が鮮烈である。
料理が供される速度、温度管理、メリハリも行き届いており、そこに器の配置が秀逸である。
カウンターでご飯を食べる楽しさを満喫したのであった。
「ごだん宮ざわ」
京都市下京区東洞院通万寿寺上ル大江町557
075-708-6364
投稿者 geode : 01:37