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2017年02月22日
「星のや東京」 東京・大手町・宿
2月20日放送のNHK「プロフェッショナル 仕事の流儀」に出演した「星のや東京」の浜田統之さんが料理長を勤める旅館である。
席に座り献立を見る。
季
石
温
足
鮮
などの文字と食材の名前だけが記される。
これを読むだけで料理の想像がつかない。
スタートは献立に記されていない。
雲子のフリットに雑魚のチュイル。
「雑魚、魚を余すところなくすべてを使う。骨を焼いて砕いてチュイルにしています」とのこと。
季は蛤と書かれている。
大きな蛤を開けるとこのスタイル。
キノコとの取り合わせも嬉しい出会い。
石は五つの意思。
それぞれ酸、旨、塩、辛、甘という五つの味わいを象徴する。
じつは、五つの石の温度も変えてある。
左から、コハダ、オニオングラタン、春菊、ブーダン・ノワール、百合根饅頭というラインナップ。
浜田さんの意思が一つひとつの料理に込められている。
汕はゴマサバ。
ゴマサバは酢で締める、柚子でマリネ、炙るなどの調理法が加わる。
温は鮟鱇。
お椀の形はシェフの頭部を表しているとも。
椀種はぷりぷりの鮟鱇である。
出汁というかスープは鮟鱇のコンソメ。
この発想と技術の結晶に食べる意欲が湧いてくる。
足は甘鯛と蕪。
甘鯛はウロコ付きで調理。
次は目を閉じお待ちくださいとのインフォメーション。
カサカサという音が聞こえる。
目を開くと紅葉が散りばめていた。
鮮は鰻と筍。
想像とは及びもつかない料理の登場である。
筍の皮を外す。
鰻と筍のマリアージュだ。
歯ごたえの差異、苦味とうま味、香りと味わいなど一口ごとに口の中の地図が塗り替えられてゆくような感覚だ。
改は柚子と日本酒。
柚子のソルベに日本酒のジュレ。アヴァンデセールである。
豊はさつまいも。
さつまいものタルト、ゴマ油のアイス、バターソテーしたさつまいもなど。
迷い箸を誘う。
果はおたのし実。
日本の食材だけをつかったプチフール。
今回は、魚だけ、また日本の食材だけでコースを組み立てる。
そこにシェフのチャレンジがある。
食べ終わるとなんの違和感もなく、すんなり胃袋に収まる卓越した料理となっていた。
これが到達点ではないはずだ。
愉しみを呼び込む料理でもある。
「星のや東京」
東京都千代田区大手町1丁目9番1
0570-073-066
投稿者 geode : 01:10