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2017年03月27日
「糸仙」 京都・上七軒・中国料理
「値段の高いもの、必ずしもうまいとは限らない。高いから、珍しいからということは美味の条件にはならない」という言葉を思い出した。
じつは、昭和初期の食いしん坊が残した言葉である。
それを実感させてくれるのが京都・上七軒の「糸仙」という広東料理の店である。
花街・上七軒の路地にある。
奥の座敷8名の宴席であった。
東京からの先輩は献立表を見るなり「懐かしいな!」と言い放った。
「ピータンとくらげ」と続けた。
定番中の定番。
ピータンは半透明にゆるりという歯ざわりと香りがいい。
くらげはやや縮んだ食感が心地よい。
続いて揚げ物シリーズ。
豚の天ぷら。
この褐色の衣からにじみ出る醤油の香りと豚のカリッとした歯ごたえに脂分の甘味が加わり、これはやみつきだ。
鶏の唐揚げ。
パリ、サクッと、香ばしさの三重奏のあとにゆったりとした弾力とジューシーさが真骨頂。
小海老の天ぷら。
小ささが味わいになっている。甘い。
じつは春巻きの画像はないが、薄焼き卵で巻いた春巻きの味わいが雅である。
青菜炒めで口をすこしフラットにする。
酢豚は懐かしさの代名詞のような献立。
豚肉とパイナップルのみ。シンプルかついまではなかなか出会わない。
黒酢の酢豚とは対極にあり。
蜜のような甘さあり。これがなんともうれしい。
フカヒレ入りスープ。
コクがしっかり。
牛肉と野菜の味噌炒め。
味噌の味わいがインパクトありで、これまた「旨いね!」と賞賛。
ご飯パラリの炒飯。
あんかけ焼きそば。
杏仁豆腐で締める。
定番がずらりと並ぶが、それぞれの特徴が際立ち、ときにはこのような料理を食べ、自分の舌を再確認する味の構成である。
「糸仙」
京都市上京区真盛町729-16
075-463-8172
投稿者 geode : 01:47