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2019年04月26日
「フランス料理に想う」
舌平目のデュグレレを食べたいと誰かが言葉を発したのがきっかけであった。
デュグレレは19世紀半ばに活躍した名料理人の名。
彼の創作した料理に付けられ、今日まで残る。
主に魚料理にこの名が残されており、ソースにも使われる。
ソースとしては、エシャロットのみじん切りを白ワインとともに煮詰め、
魚のだし汁や酒類を加えてさらに煮詰めたもの。
舌平目、ヒラメなどの白身魚のソースとして使われる。
バターや生クリームはたっぷり入る。
じつは、とあるレストランで調理師専門学校の元・主任教授がこのメニューを作り、
あとはそのレストランのシェフが作るという打ち合わせであったが、シェフが
「先生の料理のアシスタントになりますので、全ての料理を作ってください」
ということになったのである。
シェフもザ・フランス料理を実際に体験したかったのではないだろうか。
グジェールが出る。
フランス料理店のおきまりのおつまみだ。
赤ピーマンのヴァヴァロワ トマトのクーリーである。
これはかつて「ヴィヴァロワ」という伝説のレストランの名物料理であった。
シェフはクロード・ペローさん。
彼の下で働いていたのが「ランブロワジー」のベルナール・パコーさんである。
そのパコーさんと一緒に働いたのが教授であり、
厨房には三田の「コートドール」斉須政雄さんもいたのだ。
この「ヴィヴァロワ」仕込みのメニューである。
サイズが大きい。なのに軽い。爽やかで瑞々しい。
一気にフランス料理の世界にどっぷりという感じ。
続いて話題の舌平目のデュグレレ。
この日は舌平目が入荷せず 平目のデュグレレとなった。
ソースは平目の茹で汁にバターを鷲掴み。熱いうちに食べるのが道理である。
ソースの存在感が生み出すフランス料理の醍醐味。素材が生きる。
改めてソースの意味、それを味わう楽しみを考え、満喫した思いが充満してきた。
マグレのオレンジソースである。
タイトルを耳にするだけでザ・フランス料理という思いがよぎる。
名高い料理だが、なかなか食べることができない料理の一つでもある。
今回驚きと発見であったのは、ソースの本領は甘さではなく、むしろ酸味にあると感じた。
ソースだけを飲むというか食べると、すっと喉を通り、うまみだけが余韻として残る。
この感じが鴨との相性なのだと思った。
ソースのあり方と役割、そして大切なのはそのソースの真偽・背景・歴史を知ることができたことだ。
デザートは生姜のスフレである。
この膨れ具合。
生姜のほのかな味わいも貴重だと思った。
ハーブティーで締める。
ヴァヴァロア、平目のデュグレレ、鴨のオレンジソース、スフレという4品だが満足感は大きく、
フランス料理を考える素敵な時間となった。
教授、シェフ、そして集まった皆さんのおかげだと頭がさがる。
※いつも門上武司のおいしいコラムをお読みいただきありがとうございます。
4月27日より5月6日まで、コラムはお休みとさせていただきます。
5月7日より再開いたしますのでどうぞよろしくお願い申し上げます。
投稿者 geode : 01:53