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2019年11月22日
「片折」 金沢・並木町・日本料理
「今日は仕入れのために500キロは走りました」と主人の片折卓矢さんは話す。
500キロも走る料理人は初めてである。
それは能登半島の先端・珠洲まで松茸を仕入れに行ったから。
「その日の松茸を食べていただきたいと」とのこと。
そんな会話から、この日の食事は始まった。
まずは身体を温めるためと「松茸のおかゆ」である。
蓋を取ると香りが立ち昇る。
その蠱惑的なこと。胃袋が激しく反応する。
柔らかな口当たりと松茸の香りで一気に「片折」の世界に突入だ。
椀物である。
毛ガニのしんじょ。香るものは一切なし。
まさに出汁とかにの味わいだけで口福を覚える。
カニの甘味が出汁に溶け込み、一口ひと口ずつ味が変化する。
木の芽や柚子を加えないところにこの椀の凄みがある。
氷見で揚がったクエ。
3日間寝かせる。味の凝縮感が深まる。
器の温度 冷やし方も素晴らしい。
口に含んだ時の味の広がりを計算されて入れると感じた。
いよいよ本番、松茸である。
見るからに瑞々しい。うっとりである。
塩と割り下醤油で食べる。
旨味液体の含有量が半端ではない。
口に入れた時に飛び出るような荒々しさは初の経験だ。
食感とともにじんわりを喉から胃袋に広がり、
身体全体に喜びと感動が溢れて行くのであった。
甘鯛の焼き物。
海苔の佃煮。身のほぐれ具合と脂分のバランスの妙。
塩梅の凄みに驚く。
スッポンと車麩の椀物。
卵の火通りの絶妙なこと。
車麩が贅沢に感じる一椀。
クエの酒蒸し。
シンプルながら刺激のある一品。
素材の選択、管理、調理が一体となっている。
里芋の煮っころがし。
肌理の細かさ、粘りの良さ。
里芋が持つ力をいっぱいに引き出した調理。
ひろうすは豆腐と鯛のすり身。
ふんわりした食感だが、じんわりにきいてくる。
メリハリのつけ方が素晴らしい。
コシヒカリはつやつやである。
味噌汁の淡さがすごい。
お代わりはのどぐろ丼。
栗きんとん。
栗より栗らしい。
抹茶で締める。
大いなる感動と満足感であった。
「片折」
石川県金沢市並木町3-36
076-255-1446
投稿者 geode : 01:35