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2021年01月14日

「かに吉」 鳥取・鳥取・日本料理

「ここの蟹は店では使えないけれど、やはり見ておく必要はありますね。
 ピンの蟹はこんなものだと知りました」
「こんな蟹を見るのは初めて。驚きです」
「蟹の概念が変わりました」

 同席した料理人のコメントである。

確かに「かに吉」のかには違う。

料理人にとって食材を選ぶ眼は大切。それを調理する腕前も大切。
そして食べる人を喜ばせたいという心持ちも大切だ。

新鮮で素晴らしい食材と、それを見事に調理する腕だけでは
日本各地からそんなに多くの食べ手が集まってくるとは思えない。

価格もそれなりである。
そこに素晴らしい蟹を全うさせたい、食べ手に喜んでもらいたい
という大将の執念があるからこその賜物だと思う。

蟹味噌から出た。
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全く蟹の匂いがしないが口に含むと味わいが広がる。
旨みの凝縮体。「かに吉」の世界に入り込む。


足は生だが、醤油を少し垂らして食べる。
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あまりにも甘い。

焼きガニ。
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焦げ目は一点もないが、香ばしさは十分あり。
身はぷっくりふくれる。

年末までの香箱蟹。
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サイズが大きい。胴体は僕の拳ぐらい。

足の付け根からかじる。
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旨みが怒涛のように口中で溢れる。
外子の瑞々しさはなんだ!

内子と味噌の大合唱には感銘すら覚える。
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香箱蟹とはこのような蟹のことであったか!

足はふっくら甘い。
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自然と笑みがこぼれてくる。

爪のフライだ。
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油の力を借りて、より一層の甘さを生み出す。

ルイベが出てきた。
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一年前の蟹味噌を清酒と練り上げ寝かすとこのような旨みの塊が生まれるのだ。
衝撃度は高い。

茹で蟹だ。
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身をほぐして味噌をまぶす。
悶絶級の味わいと言える。

甲羅酒。
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蟹サンド。
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大将に一本取られた。

新登場の岡山吉田牧場のバターを使った蟹のバター焼き
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バターが生きる一品。
甘味のある身をナスタチウムの葉の底にあるバターと一緒に包みたべる。

そして鍋となる。
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野菜と蟹の色艶が見事だ。

出汁に蟹と野菜の甘味が移り、身は繊維を感じる。
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出汁を吸った椎茸の美味さ。
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爪は絶妙な火入れで身が口中でほぐれる。
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ネギは先と根元で甘さが違う。
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白菜も同様のことが起きる。
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身が出汁に浸かる。
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そして次の瞬間、繊維が解ける。
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まるで蟹そうめんである。

春菊の香りと味噌。
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雑炊はかき混ぜず上からすくう。
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卵と米が層になっている。
いつまでも熱い。

味噌がたっぷりでコクが出る。
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寒天にきな粉。懐かしいお菓子。
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とてつもない満足感を感じる。
貴重な一軒である。

「かに吉」
鳥取市末広温泉町271
0857-22-7738

投稿者 geode : 01:03