« 「セザン」 東京・フォーシズンホテル丸の内・フランス料理 | メイン | 「インディアゲート」京都・室町通錦小路・ビリヤニ専門店 »
2022年06月07日
「エスキス」 東京・銀座・フランス料理
2006年ミッシェル・トロワグロの命を受け、レオネル・ベカさんは日本の地に降り立った。「ミッシェル・トロワグロ」という東京のレストランのシェフとしてである。
2012年6月、レオネルは銀座にオープンした「エスキス」というレストランのエグゼクティブ・シェフとなった。来日して15年以上の歳月、「エスキス」に移り10年近い時間が経過した。その中でレオネルが感じ、考えたことが昨年末「エスキスの料理 インスピレーションから創造する料理の考え方」という一冊の本を現した。
文章も写真も全てレオネル自身の作品。
あまりにも素晴らしい一冊である。
前書きの中に「料理をつくるために必要なこと」という一節がある。
料理を提供するためには、料理人はまず、料理以外の全ての事柄を通して自分自身の心と知識を豊かにする必要があります。
現実を一旦受け入れ、その中から心に響くもの、自分を触発するもの、意味があると感じるもの、料理に変換する価値があるものを直観で選び取り、現実と想像を織り交ぜる。そのためにしなやかな心、繊細な目と明敏な精神を備えなくてはなりません。
そんなレオネルの料理。
メニューの書き方も独特である。
真実の旅とは感性の発芽にして とある。
儚さ
縞鯵、ヴェネツィアン
一週間ほど寝かせた縞鯵 タマネギ、セロリ、生姜など
昆布締めの技術も施されている。
スターターのインパクトが鮮烈。シェフの想いが伝わる。
鼓動
グリーンアスパラガス 卵 セロリ
まずはハーブの香りを感じる。
アスパラガスは瑞々しさ。しかし、中にはアボカドのピュレやカラスミなどが仕込まれていた。食感と香りの饗宴でもある。
3つのテロワール
トリ貝 豚 オゼイユ
豚肉は頬肉を使う。オゼイユの酸味。
トマトウォーター 豚の出汁、ハーブ、レモンなどが渾然一体となり
舌から胃袋にインパクトを与える。
川の恵み
山菜 スッポン クレソン
タケノコ、ワラビ(灰でアク抜き)、行者ニンニク、ノビル、こごみなど
スッポンは皮のゼラチン質をうまく調理。エンペラのところか。
スッポンの出汁にチーズや黒ラッキョのエキスなどを加えたソース。
威厳
太刀魚 フヌイユ マジョラム
これは南仏のイメージのようだ。
フヌイユやマジョラムの香りのきかせ方。
白エビのフリット、トマト、昆布などうま味の扱いなど秀逸である。
伊勢海老の料理がプラスされた
伊勢海老とアスパラガス
ヘーゼルナッツ 八朔など柑橘が漂う。
これもまたソースアメリケーヌの意味が理解できる。
呼応
軍鶏 干し草 ヴァンジョーヌ
軍鶏の火入れの完璧なこと 干し草バターで胸肉をアロゼ
ジューシー感が半端ではない。
ささみはしっとり ヴァンジョーヌの風味
カブ、菊芋、セロリ ケールなども生きる。
季節の息継ぎ
ビスキュイ、甘草 リコリス フキノトウなど
香りと温度が交差する
北の声
ジャスミン カモミール スミレ
イチゴのコンポートにリオレ
カモミールの香り ホワイトチョコレートなど
エスプレッソ
ミニャルディーズ
ハーブティーでゆったり締める。
リオネル ベカの「エスキスの料理」は是非とも手に取っていただきたい一冊である。
「エスキス」
東京都中央区銀座5丁目4-6 ロイヤルクリスタル銀座9F
03-5537-5580
YouTubeチャンネル「Round Table」=====
★ 【新着】和田有史(立命館大学食マネジメント学部教授)
辻 邦浩(音響空間デザイナー)
輿水精一(サントリー 名誉チーフブレンダー)
新保吉伸(精肉店サカエヤ)
赤井勝(花人/かじん)
https://www.youtube.com/watch?v=VlSdDts_cMU
梶高明(梶古美術)
https://www.youtube.com/watch?v=g5ZkyjBEYBw
中川政七(株式会社中川政七商店代表取締役会長)
https://www.youtube.com/watch?v=AREXu4uDjgc
村田吉弘(株式会社菊の井/NPO法人日本料理アカデミー理事長)
https://www.youtube.com/watch?v=fGYHD18jz60
======協力:株式会社マイコンシェルジュ
投稿者 geode : 10:00