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2023年08月25日

「伏見町 栫山」 大阪・伏見町・日本料理

7月の料理の記録。

「伏見町 栫山」は門構えから料理が始まる感じである。
店内に入ると右手にチラリと個室が見える。
だが、こちらの真骨頂はカウンターだと思う。

設計は杉原明さん(草喰なかひがし等)が主人の栫山一希さんの思いを受け止め、
精密な図面を描き、材料を選び作り上げた割烹という印象が強い。

最初に登場したのが青梅と青梅のかき氷

甘酸っぱい氷が青梅の味わいをより強調してくれる。
この一品で「伏見町栫山」の世界に吸い寄せられる。

 

次にはと麦のお茶と続く

甘味を切ると同時に料理に向かう心づもりが生まれる。

 

七夕の5種
湯葉 岩茸 雲丹 車海老 えんどう豆

それぞれ味わいが豊か。

 

冬瓜にはベッコウ生姜が乗る。

出汁の味を吸い込んだ冬瓜にインパクトのあるベッコウ生姜。
生姜が果たす役割の大きさ。
食感と甘味と酸味が冬瓜が階段を数段上がったような味わいとなる。

 

冷やしとろろにのどぐろの西京焼
オクラ

想定外でテンションの上がる一品。

 

器は料理の着物と言ったのは北大路魯山人。
味や香りまで引き立てるというのだ。
その言葉を僕は再び「伏見町 栫山」で食事をして思い出した。

コチの薄造りが涼しげに並んだ景色を見た途端に、
器の偉大さを感じたのである。

まさに料理は器と一体感を供し、
一服の絵画のような世界を構築する。

加えてコチでは山葵をつけずニラ酢と醤油で勝負をした。
山葵の味と香りが強く、コチの香りが負けてしまうとのこと。
この勇気ある選択には拍手を送りたいと思った。

 

続く鱧の落とし

山葵と発酵タマネギを添えるなど、食材の本質を見抜き
従前の考えを検証することから料理を組み立てるのだなと感じたのであった。

 

その後のじゅんさいも同様

箸休めのようなポジションだが、なんと栫山さんは
シャンパン流しに山椒の香りをプラスした。
シャンパンはソルベ。
軽やかな酸味と山椒の刺激が程よく出会い、
次からの料理に移る素敵なシグナルである。

 

椀物は
鮑に蓮根のしんじょ

鮑の味わいのふくよかなこと。
出汁のキリッとした味とのマッチング。

 

7月の大阪は天神祭である。
八寸には天神祭を想起させる器と料理が用意された。

京都では祇園祭の山鉾を器にすることが多いが、
こちらは船渡御をイメージする器に料理を盛られる。
この辺りは大阪で料理をすることの意味をしっかり考えての演出である。
そこに入った鮎のせごしは鮎の苦味、風味が素晴らしい味を生み出していた。
たこ、カラスミ、タマネギ、ほうずきなど多彩。

 

締めのご飯は、まず煮えばなが出る。

そこに山うに(豆腐)を加えることで印象が全く変わる。

 

その後 ナスや毛蟹で口中をフラットにして
白ごはんとおかずを楽しむ。

 

琵琶湖の天然鰻焼き物

 

牛肉

 

締めはやや豪華な船場汁

 

最後の抹茶と発酵アイスと薬膳ゼリーまで
栫山さんは攻め続ける料理人であることを緩めない。

 

 

カウンターで食べる醍醐味を実感する。

 

 

「伏見町 栫山」
大阪市中央区伏見町2-4-12
06-6228-3007

 

 

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投稿者 geode : 10:00