2007年05月30日
「鮨ろく」 大阪・西天満 寿司
昨年秋、大阪の西天満に暖簾をかかげた寿司店「鮨ろく」。
主は33歳の堀内紀久さん。
入り口には渋い暖簾がかかり、「鮨ろく」の文字が光る。いいたたずまいだ。その印象は中に入っても変わらない。磨き込まれたカウンターに、小さな個室が一つあるのもうれしい。
中華料理から寿司の世界への転身。そこで江戸前の仕事を知り、一気呵成に寿司の世界にのめり込んでゆく。
寿司を握ってもらう。
明石の鯛から始まる。
いい脂ののり。
マグロ。
香りが命だ。
イカ。
ねっとりとした甘み。
コハダ。
酢の締め具合がポイント。
トリガイ。
この季節、ようやく甘みがのってきた。
キスの昆布締め。
昆布の旨みの塩梅である。
アジ。
これも独特の香り。
ヅケ。
この香りも見事。
ウニは三種。
ばふん、むらさき、あかとそれぞれ濃密度も甘さも違う。
蒸しアワビ。
熱を加えることによって海の香りが立つ。
タコ。
これもアワビ同様だ。
穴子はツメで。
玉子は芝エビのすり身と大和芋などが入る。
イカとキュウリの巻物。
コハダとがりの巻物。
この江戸前の仕事が好き。
まだまだ若き職人だが、素材も築地から仕入れるなど、研究熱心。
関西にも江戸前の仕事がかなり定着してきたことを実感する一軒である。
鮨ろく
大阪市北区西天満4-12-22
06-6367-5040
投稿者 geode : 08:23
2007年05月26日
「ヴィ・ザ・ヴィ」 京都・ブライトンホテル フレンチ
京都ブライトンホテルのフレンチレストラン「ヴィ・ザ・ヴィ」は、完全予約制である。客席もわずか10席という贅沢な空間。シェフは滝本将博さん。じつはテラスレストラン「フェリエ」のシェフも兼ねる。
滝本さんとはずいぶん前から、いろいろなところで顔を合わす。大原の朝市。これは京都の名だたる料理人が日曜日の朝に集まり、大原周辺の食材を仕入れるとともに、情報交換をする。「草喰なかひがし」の中東久雄さんや「エヴァンタイユ」の森谷之雄さん達も主要なメンバーである。また、ジャンルを超えた京都の料理人が月に一回集まる勉強会「ひこばえの会」でも。
数年前になるが、滝本シェフが「米」をテーマにフランス料理を作るイベントがあった。合鴨米を作る農家の人とそれを販売する人、シェフと僕が「米」について語るというモノであった。積極的にあらゆることにチャレンジするシェフの姿には、いつも刺激をうける。久しぶりに「ヴィ・ザ・ヴィ」で夕食を食べることとなった。
まずはアミューズがでた。
一皿に三つの料理が並ぶ。キャビアを乗せたカッペリーニ、ホワイトアスパラガスのブルーテ、玉子である。
前菜は
夏野菜 フォンダン ニース産オリーブ トマトジュレ 生ハム ハーブオイル モナコの思い出・・・
生ハムを敷いた上にラタトゥイユ、そこにトマトの酸味が絡む。美しい一品である。緻密な計算がなされた料理。
前菜の二品目は
エクルヴィスのヴィネグレット和え オセトラ・キャビアのブイヨン・グラッセ クレーム・ブロッコリー。
ぎりぎりまで柔らかなジュレは素晴らしい食感。エクルヴィスの濃厚な味わいとブロッコリーのソースがピタリとくる。
魚料理は
三陸産 天然帆立貝柱 ポアレ 数種類のコキュアージェ和え 大原で収穫した 旬野菜とクスクス アルガンオイルの香り
野菜の苦味、甘味、青味などと帆立など貝類のジューとの出会いが決め手となった。柑橘系の香りも立ち上り初夏らしい一皿。
メインは
茨城産 乳飲み仔牛骨付き背肉 100分グリヤード タイムの香り リ・ドゥ・ヴォーロティ レモンが香棗椰子の実 杏茸 ジューグラ
まずは大きく焼き上げられたかたまりを見る。
香ばしい匂いが旨そうだ。なにせ大きさとの相談だが100分かけて低温で焼く技術。全体にまんべんなく熱が入り、優しい仕上がりとなる。
熟成した農家産フロマージュ
見事な品揃え(20種類はあり)と保管状態の良さ。トムドサボア、ロックフォール、リバロを選ぶ。
上賀茂産 幻いちごの変化
ソルベ、ジュース、ショコラと、生といちごを種々の調理法で提案。
久しぶりに滝本シェフの料理を食べ、食材の持っている力をやさしく引き出す仕事振りには感動を覚えたのであった。
ヴィ・ザ・ヴィ
京都市上京区新町通中立売 京都ブライトンホテル
075-441-4411
投稿者 geode : 08:48
2007年05月25日
「ラ・トォルトゥーガ」 大阪・北浜 フレンチ
大阪ビストロの代表格。昨年は2階にカフェ「ル ボワ」をオープンさせる。
ココットを使った料理には定評あり、というよりシェフ萬谷浩一さんが他のシェフに影響を与えたといったほうがいいかもしれない。そのダイナミックなスタイルにあこがれる料理人も多い。
前菜は
田舎風お肉のパテ
このビストロを表現するメニューの最右翼。びしっと詰まったパテは、口内の温度でじんわり溶け出し、旨みが次第に広がるのだ。
帆立と穴子と野菜のグリエ
写真を忘れました。
黒鯛、アサリ、オリーブ、ジャガイモ、トマトの煮込み
魚介と野菜のエキスがたっぷりの一皿。それらをまとめて煮るのでは、えぐみや臭みが出る。それぞれの下処理がすっきりなので、クリアな仕上がりとなっている。
肉料理は
仔羊にするか、白金豚かさんざん迷ったあげくに白金豚に決定。
これもココットを使った十八番であります。香草はピリリときいて、豚の脂分との美しくも強固なバランスが保たれている。この存在感、いつ食べても裏切られることないです。
デザートは吉田牧場のリコッタチーズを使ったアイスクリームなど。
極めて安定感があり、だが、常に種々の食材を求め奔走し、テクニックを磨くシェフの勢いが感じられるのです。
ラ・トォルトゥーガ
大阪市中央区高麗橋1-5-22
06-4706-7524
投稿者 geode : 04:38
2007年05月23日
「御影 ジュエンヌ」 神戸・御影 フレンチ
このところ気になっているフランス料理店。
神戸・御影の「御影 ジュエンヌ」である。
一昨年大改装し、以前のビストロ色は一掃され、カウンターとテーブルのレストランとなった。
この日は、京都の若き料理人達と8名のランチであった。カウンターに8名がずらりと並ぶ。シェフサイドからは、おそらく暑苦しい風景であったろうな。
まずは
秋田のウニ、キュウリ、チャービル、ジュンサイをガスパッチョのゼリーで固めた前菜からはじまる。
このゼリーがぎりぎりのゆるさ。そのゆるやかさと酸味のバランスが危ういぐらいの素晴らしさ。初夏の暑さを考慮した見事な前菜である。これで一気に、それまでの世界から食べる世界に突入だ。
次は
スペッシャリテ、魚介のサラダ仕立て。
トリガイ、タコ、穴子、足赤エビ、一寸豆、オクラ、二十日大根などが入り、アスパラガスがどんと乗る。どの食材の味わいも明確に現しながら、一皿としてのまとまりはすんなり。ドレッシングや塩分の打ち方、湯がき方など緻密に計算された結果にちがいない。
次に供されたスープ。
みらいコーンのパンナコッタが入ったスープ。そして皿の上には生のコーンが少量のっかる。見た目はシンプル。しかし、スープをすすったところでパンナコッタが出てくる。その驚きとみらいコーンの甘さと食感の三重奏は感激モノであった。
メインは白金豚のロースト。
火入れ具合も絶妙で、豚肉の脂をうまく溶かし甘みとし、肉に与える温度の素晴らしさ。焼いたあとの休ませる時間との関係であろう。
グレープフルーツのプリンがでる。苦味と酸味の生かし方もうまい。
次は、チョイスしたデザート。
ミルフィーユを選んだのだが、ここまでサクッと切れるミルフィーユにはなかなか出会わないが、ここのは理想的なミルフィーユ。
友人が選んだブランマンジェも見事であった。
昼は2コース、夜は1コースのみ。今後夜はもう一コース増えそうだが、その組み立てと調理の確実さ。レストランとしてさまざまな要素が編み出すバランスの良さは関西屈指だと思う。
御影 ジュエンヌ
神戸市東灘区御影町石屋伊賀塚650-1Mパレ御影1階
078-854-4393
投稿者 geode : 02:37
2007年05月22日
「ラ・フォーリア」 兵庫・芦屋 イタリアン
浅井兄弟。双子で同じイタリア料理のシェフ。弟は苦楽園で「イ・ヴェンティチェッリ」を。兄は芦屋で「ラ・フォーリア」。どちらも人気店である。
阪神芦屋駅からすぐ。「アンリ・シャルパンティエ」本店の東側、コンクリート打ちっ放しのビルの3階、昼間なら大きな窓から立派な樹木が見え、おおらかな気持ちになる。
京都の若き料理人を含め8名で食事。
「今日は、香りがテーマです」としっかりしたメートルドテルが説明を。
一皿目
視覚に訴えるメッセージがすごい。
野菜の緑が大声を出している。この元気な姿を見てくれ、と言わんばかり。
ブロッコリー、ソラマメ、うすい豌豆、赤キャベツにリゾーニというパスタが入る。
野菜の青々とした新鮮な香りが匂い立つ。
二皿目は
フェットチーネにサマートリュフ。
これは運ばれてくる途中からトリュフの香りというより強烈な匂いが漂ってくる。その香りでパンチを喰らい、ブラウンマッシュルーム、アンチョビ、ニンニク、トリュフのジューが入ったソースとパスタとの相性も見事。無言となってしまう。
三皿目は
しそ入りジャガイモのニョッキ
淡路島の活け鱧にコーン、アスパラガスが入る。ピリッとした辛味とニョッキを噛むとしその香りを感じる。
四皿目は
「茶路めん羊牧場」の仔羊とズッキーニの花。
この仔羊は北海道釧路近くの「茶路めん羊牧場」のモノで料理人垂涎。アニョドレ(ミルクラム)で匂いはほとんどなく、ズッキーニの花にはカレー風味の穀物などが入る。マルドンというイギリスの結晶の大きい塩やピノ・ノワールの澱で作った塩も付く。しみじみと旨い一皿である。
五皿目は再びパスタが出る。
仔羊の内臓を使ったパスタ(パッケリ)である。
さがり、ほほ肉、タン、ハツ、レバー、肺、食道などを肝のソースで和える。パッケリというナポリのマカロニの兄貴分のようなパスタは太く存在感があり、濃厚な味わいをしっかり受け止める。メインのあとに、仔羊の内臓を使うパスタを出すというチャレンジに拍手である。
デザートは
土佐上のフルーツトマトのグラタン
サバイヨーネソースがかかる。
その後珈琲が出て、話をしていると水出しの日本茶が運ばれる。この憎いホスピタリティも素晴らしい。
コース料理は香りをテーマとし、最後のパスタの印象的なことなど、思い出深いディナーとなった。
ラ・フォーリア
芦屋市公光町9-3izaビル3階
0797-23-8887
投稿者 geode : 01:22
2007年05月20日
「はふう 御所南店」 京都・夷川 洋食・肉料理
「はふう」とは「波」と「風」のことである。それぞれが持つ音色など、目に見えない美しさや派生するコト、モノなどに思いを寄せたネーミング。
本店は京都・麩屋町夷川上ル。「御所南店」は昨年のオープン。オーナーの実家が精肉業を営むことから、牛肉の扱いには定評のある洋食屋である。
ステーキはもちろんのこと、ハンバーグ、ハヤシライスなど惹かれるメニューのオンパレード。久しぶりのランチなので、ハヤシライスにしようかと迷ったのだが、カツサンドセットをオーダー。
なにせカツサンドこそ、我が「末期の一食」なので、方々で食べ込んでおく必要がある、などと手前勝手な理由をつけては食べ歩いているわけです。
長く伸びたカウンター。椅子は全て黒かと思っていると真ん中の一席だけ深紅というセンスの良さ。これはインパクトあり。
カツサンドの醍醐味は、肉汁をいかに閉じこめるか。写真からでも、その艶めかしいカツの姿がおわかりいただけるはず。軽くトーストしたパンに歯が入る。すっと入ったところで衣のややとがった食感があり、あとは肉汁が口の中に溢れてくるのだ。こう書いているだでも唾液が湧いてくるのです。
そして牛肉特有の香りが鼻腔にぬけてゆく。
嗚呼、贅沢なランチ。元気がでてくるのであった。
はふう 御所南店
京都市中京区夷川通富小路西入ル俵屋町303
075-254-2884
投稿者 geode : 03:20
2007年05月18日
「うどん棒」 大阪・梅田 うどん
以前にも書いたが、“大阪のうどん”が熱い状況を呈している。梅田の「はがくれ」、羽曳野の「釜竹」、なんばの「釜たけうどん」などがその魁けで、あとを多くのうどんやさんが走り続ける。
大阪駅前第3ビル地下2階といえば「はがくれ」が存在する。この名店が大阪のうどんに投げかけたモノは大きい。同じフロアで店を開いているのが「うどん棒」である。
本店は高松にあるが、大阪で勝負をかけた一軒ということ。前から気になっていたが、ようやくでかけた。
↓「温玉おろしうどん」にちくわの天ぷらをトッピングです。
うどんのこしは、明確である。歯を入れた時の弾力と、かみ切る時の弾力が違う。これぞコシである。
そして小麦の香りがじんわりにじむように口の中にひろがってゆく。一気に香りが破裂するという印象ではないが、コシから香りへの移行は見事である。
ちく天の油キレも鋭く、だしと絡まったときに美味しさを発揮する。
つるりと光る艶もいい感じだし、こらからどう変化してゆくのか楽しみである。
なんといっても若き店主の、勢いのある仕事ぶりがちゃんとうどんを通して伝わってくるのがうれしい。
うどん棒
大阪市北区梅田1-1大阪駅前第3ビル地下2階
06-6458-5518
投稿者 geode : 01:25
2007年05月17日
「西洋厨房 いとう」 京都・古門前 フレンチ
京都の料理人が毎週日曜日の朝、大原で獲れる野菜を求めて朝市に集まってくる。
「なかひがし」の中東久雄さん「エヴァンタイユ」森谷之雄さんなど、ホント数多くの料理人が集まり、野菜を仕入れ、情報を交換する。その輪がだんだん広がり、朝市に向かう時間が早くなっているとのこと。
その朝市に通う一人が「西洋厨房 いとう」のオーナーシェフ・伊藤努さん。伊藤さんは京都の調理師専門学校で教師をつとめたのち独立し、古門前という祇園のはずれでビストロをオープンさせた。しかし、場所柄、ビストロという形態が、祇園の人々の心を打つには時間を要した。
そこで考えと店名を変え、どこか洋食の香りが漂う造りとメニューにした。
そこで威力を発揮したのが、メイン料理の前にでる野菜の一皿である。大原を中心に京都で獲れる野菜を十数種類使う。
一つひとつ茹で時間も違えば、塩分濃度も異なる。オイルを入れた熱湯で茹でるものもある。それらを一皿に盛り込む。これほど素材の味わいが明確になった料理はあっただろうか。シンプルが故に違いが分かる。
野菜が持つ、甘み、苦味、渋み、青味、辛味、酸味などなどそれらが微妙に絡み合って、一皿のふくらみを増してゆくのである。
メインのシチューは近江牛のホホ肉・テール・タンなどが揃う。
このソースが見事。
ドミグラスではなく野菜の旨みをたたえたソースなのだ。
そして締めはオムライス。これも一筋縄ではいかない。ご飯が、この日はリゾットであった。「オムライスはどちらのタイプにしますか。巻くタイプ、それとも切り分けるタイプ?」と伊藤さんから聞かれる。
切り分けるタイプを選択。
ソースはニンジン。つまり、毎日手元にある材料で、オムライスは変化し続けるのです。これもここならではの醍醐味。
カウンター10席の楽しみ。伊藤さんとの会話から次なる喜びが生まれる。
西洋厨房 いとう
京都市東山区古門前通石橋町307
075-533-0500
投稿者 geode : 04:42
2007年05月13日
「branch coffee」 愛媛・西条 カフェ
「西条市食の創造館」。
「おいしい西条」をテーマにオープニング記念イベント終了後、創造館の近くにある「branch coffee」に。
今年の春に立ち寄って以来気になるカフェの一軒である。
知らない街に行くと、まず探すのが「自家焙煎」の珈琲屋さん。そこで美味なる珈琲を飲みながら街の情報を聞き出すことが多い。
「branch coffee」は、自家焙煎の店。オーナーは島根の「カフェ・ロッソ」での修業を経て独立を果たした人物。
最初は修業先から珈琲豆を仕入れていたが、やはり自分で豆を焼きたく焙煎機でそれを始めたという。「まだまだ西条市では、ストレートコーヒーをオーダーされる方が少なくで、豆も単品を揃えておくのが難しいのです。だからストレートコーヒーは月替わりにしています」と。
ブレンドコーヒーを飲む。
温度はちょうどいい。一般的には熱いのがいいような傾向だが、あまりに熱いと口に含むのが困難な場合がある。あとは、すっきりと喉を通るか。それも申し分ない。香りは複雑だが、あとに残るそれはさわやかである。とても飲みやすい味わいだ。この飲みやすいというのは、雑味を感じず、味わいがクリアということ。
サイドオーダーのティラミスは、甘み濃厚だが珈琲との相性は素敵であった。
珈琲豆を購入し、オーナーの越智雄一郎さんと話していると、珈琲を美味に淹れることとカフェの個性を際立たせようという思いの強さが伝わってきた。
このままの気合いで、続けばストレートコーヒーのオーダーが多くなると思った。
branch coffee
愛媛県西条市周布426-2
0898-65-6646
投稿者 geode : 05:33
2007年05月13日
「西条市・食の創造館」 愛媛・西条市 エトセトラ
この4月に開館したばかりの「西条・食の創造館」。
「おいしい西条」をテーマにオープニング記念イベント。
プログラムは二つ。
一つは、京都・百万遍「梁山泊」の橋本憲一さんによる
「西条の食材で手軽に作れる京料理教室」。
今回は「鯛」が主たる素材。
橋本さんは、鯛を使って3種、キュウリをつかって1種の料理を作ることとなった。
橋本さんは、日本各地で「あなたの町で京懐石」という料理教室を開催し、経験豊かなので会場は笑い声も多数で、盛り上がること、盛り上がること。
献立は
↓鯛のジャガイモ蒸し
↓鯛のかぶと煮
↓鯛の中骨芹雑炊
↓キュウリのフライ
これは傑作である。まるでアスパラガスのような味わい。
二つ目は
中村新さん(さまざまな飲食の開発にかかわるプロフェッショナル)と僕が「求められるおいしさと西条の食」をテーマにトークショーを実施。人気の取り寄せ商品を紹介しながらであった。
食を中心とした地域活性化イベントである。可能性ある地域には不可欠な展開。
投稿者 geode : 04:34
2007年05月09日
「梁山泊」 京都・百万遍 和食
愛媛県西条市から帰ってきた晩、その足で京都・百万遍の「梁山泊」に向かう。
主の橋本憲一さんは、じつに魅力的な料理人であります。家庭の事情で、演劇青年を辞し料理屋を継ぐ。料理に関してはずぶの素人。それゆえに学ぶ気持ちは多大。魚を仕入れると同時に調理法まで習得する。ついには漁師とともに漁船に乗り込むまでにいたる。
日本酒も同様。蔵元に通い続け、杜氏の修業にも精魂傾ける。常にチャレンジ精神を忘れず前に向いて走る。
その姿勢に魅せられ「梁山泊」に通う客も多い。水上勉さん、倉本聰さん、永六輔さんなど枚挙にいとまがないほど。
そんな橋本さんに、愛媛県西条市の「食の創造館」のオープニング記念イベントで、「西条の食材を使って作る京料理教室」の講師として出馬願う。そのうち合わせを兼ね、カウンターに座り話しながらの晩ご飯である。
先付けは、サツマイモ、わさび菜のおひたし、稚鮎の山椒焼きなど。
これは写真なしです。
椀物が、鱧と玉子豆腐。
鱧と濃厚な玉子豆腐がいい相性です。
造りは、モンゴイカ、あまてカレイ、サヨリ、関アジ、おこぜの昆布締め、マス。
これでけ多彩な魚を盛り込み、それぞれの味わいが明確に伝わってくるのが素敵だ。「サヨリには名字があるんです、よしなが、でも今日は日本海からきているので、いしかわ」と橋本さんの十八番が飛び出す。言葉遊び、つまり頭の回転が速いという証拠。
若狭ぐじのアスパラ巻き蒸し。
これもタケノコや一寸豆など入り春満開の献立である。
八寸が美しい。
サワラの南蛮焼き、生ジュンサイ、西条のキュウリにもろみ味噌、ばい貝、しめサバ、豆腐のスモークなどなど、じつに愉しい八寸だ。
天ぷら
こしあぶら、ウドの芽、ふきのとう、サツマイモなど季節をしっかり盛り込んだ内容に満足である。
平目の昆布締めに、メロンの胡麻酢かけ。
ねっとりと甘みが見事な出会いである。これはあとを引く味わいだ。
じゃこごはん
マンゴーのムースに金柑と生姜のシャーベット。さっぱりして旨い。
この献立を食べながら、打合せは進む。
橋本さんは、全国各地で料理教室をされて経験が豊富。安心してお願いできる。話題は料理教室からどんどん離れ、料理と酒の関係など広がるばかり。愉しい食事は、時間の流れも素早いということを実感した。
梁山泊
京都市左京区吉田泉殿町5
075-771-4447
投稿者 geode : 14:35
2007年05月09日
「オステリア アリエッタ」 愛媛・西条 イタリアン
愛媛県西条市に「ナイスベジタブルファーム」という農家がある。矢野さんという人物が「安心、美味しい、珍しい野菜」をコンセプトに有機農法でさまざまな野菜を作っている。この農家のことを知ったのは、京都の「トラットリア ニーノ」の関シェフから。春先に一度矢野さんの畑を訪ねたことがある。「うちは、必要とされている野菜を作るんで売り先はいっぱいあるよ」と話すユニークな人であった。
その野菜を使っているのが西条市のイタリアン「オステリア アリエッタ」です。店主は山本一守さん。かつて大阪・帝塚山にあったイタリアン「ダ・チーチョ」で修業をしたことがあるという。
西条市役所の人達とランチ。
↓水牛のモッツァレラ グリンピースのピュレ トマトの水ゼリーの前菜
モッツァレラがクリーミーで濃い味。そこに軽やかな青味が絡み、トマトのかすかな酸味がプラスされる。胃袋を強烈に刺激する一皿です。
↓ズッキーニのグリル チーズかけ
黄色のズッキーニはほろ苦く、それとチーズの旨みがうまい具合に合うのです。
↓極細フェデリーニの冷製 トマトとそら豆
微かな酸味が、野菜の味わいを高めると同時に、パスタにのどごしを与えたようだ。
↓そら豆のニョッキ ソーラ・ソーラ(チーズ)かけ
そら豆のニョッキのふくよかでじんわりとした甘みがじつにいいんです。これは旨い。チーズとの相性も流石です。ほほえみがこぼれてくるような一皿です。
↓アスパラガスのスパゲッティ カルボナーラ仕立て
これはネーミングに惹かれました。アスパラガスの個性が光ってました。
↓石鎚豚のロースト
西条市のブランド豚・石鎚豚。これがなかなかジューシィでいけます。噛む毎に味わいが増してきます。たっぷり入った野菜も楽しめるのです。
↓フランス・ブレス産鶏もも肉と新ニンニクのロースト
ブレスの鶏は旨みが濃厚。口の中で旨みが暴れ回る感覚です。新ニンニクは驚くほど匂いが柔らか。力強い一品でした。
シェフの山本さんと話していると、少しずつイタリア料理が理解されつつあるという。素材は海外のもの以外はほとんど西条で入手できると。マダムの優しいサービスも含め、楽しいイタリア料理店です。
オステリア アリエッタ
愛媛県西条市古川甲259-1
0897-53-1694
投稿者 geode : 04:48
2007年05月06日
「イル ギオットーネ」 京都・東山 イタリア料理
5月の学会は、京都東山・八坂の塔そばのイタリアン「イル ギオットーネ」で開催。
シェフの笹島保弘さんは、いまノリにのっている料理人の一人である。
参加者は、「祇園さ々木」の佐々木浩さん、「いか里」の木村篤司さん、元「ジャン・ムーラン」の美木剛さん、「あやむ屋」の永沼巧さん、「トゥールモンド」の高山龍浩さんなど11名がそろった。
2階の個室で、料理は始まった。
「前菜5品、パスタ、リゾット、フォアグラ、メインとなっております」との説明がなされたのです。
一同「前菜、5品だって」と少し驚きの表情である。
↓アジのマリネに赤ピーマンのムース トマトのクーリー
アジのねっとりした味わいが見事。赤ピーマンの甘さも生きている。
↓うすいエンドウの温かいスフレにウニ
ウニの強烈な甘さに負けないエンドウのスフレ。これはしばし沈黙が続く。
↓鯛と白子のムース タケノコとワカメのスープ
出ました。タケノコにワカメ、笹島シェフの本領発揮のメニュー。
でもきちんとイタリアンなんですね。
↓アワビのコンフィ 春キャベツとエストラゴン風味
アワビはピーナッツオイルでコンフィ。だから軽やかだし、旨みの凝縮感は素晴らしい。
「これは和食でもいけるね」との声も・・。
ここで「メニューの変更です。前菜が6皿になりリゾットは消えました」と。
↓マグロとキャビア 土佐文旦とウイキョウ
これは話題集中。「マグロより白身」「キャビアは?」「文旦の酸味は?」などなど。
それに答えて笹島さんは「赤身の魚と酸味はイタリア人にとっては黄金の組み合わせなんです」と。そうか。「もっと広い視野でみないとね」と一同。
↓ホワイトアスパラガスの鰻巻き 烏骨鶏の卵
これも見事な逸品。かなり大きなアスパラと鰻の相性は驚くほど素敵であった。「これも和食にね・・」。
さて、ようやくパスタの登場。
↓赤座エビと黄ニラのパスタ。
↓最初に立派な赤座エビを見せられたので、
それがどかんと乗っているのかと思うと、ころころに切られていた。
「これはパスタを食べていただきたい料理ですので、あえてこのようにしました。もしカタチを見せるなら、そのまま焼いて出したほうがいいのでしょうが、みなさんはそのような料理は食べておられるはずですから」とシェフの意図。なるほど、なるほど・・。
フォアグラの料理。
これは新玉ねぎのプリン、表面はキャラメリゼ(よってパリッと甘い)。そこにフォアグラを乗せ、新玉ねぎのムースをかぶせる。この食感の差異、甘みの四重奏などなど、刺激的な逸品でした。
そしてメインはノルウェー産仔羊の炭火焼き にソーセージ
しっかりボリュームあり。炭の香りも漂い、サブのソーセージも歯を入れると肉汁充溢である。押さえはしっかりと、ですね。
デザートは↓イチゴのケーキと、
↓意外や意外のフランボワーズのムースをチョコレートでくるんだもの。
「笹島さんにしては珍しいですよね」「ええ、今日初めて作りました」とのやりとり。
この日初めてというメニューは結構あったようですが、料理を媒介にして、プロが言葉を交わす。
それぞれの立場の料理人。同じ素材を前にしても考えは驚くほど違う。また食べ手が日本人かイタリア人かによっても大きな差は生まれる。いろいろな角度からとらえることの多かった勉強会であった。
イル ギオットーネ
京都市東山区下河原通塔ノ前下ル八坂上町388-1
075-532-2550
投稿者 geode : 09:38
2007年05月02日
「饂飩とふかし料理 はたごはん」 大阪・西天満 うどん
道頓堀の名店「今井」出身のうどんやさんが西天満にあると聞き、昼食にでかけました。「饂飩とふかし料理」というキャッチフレーズがつく「はたごはん」。ふかし料理というコンセプトが面白い。ふかし、つまり蒸すということ。余分な脂分を落とすことも大きな目的だが、火の入れ方の工夫などさまざまな用途があるはず。
こだわり卵の親子丼セットがあり、ミニきつねうどんがついている。
「今井」というインプットがあるので、迷うことなく注文。
さすが、だしが素晴らしい。舌に乗っかってくる旨みが分厚いのです。でも喉を通るときのかろやかな気分。そのだしとともにうどんをすする。讃岐系ほどのコシではないのですが、だしとのマッチングは見事です。
さて親子丼。
兵庫県赤穂で獲れた卵のとろとろ具合。卵も旨いのですが、やはりそれと鶏をつなぐだしがいいんです。甘すぎず、しかしだしの味わいもちゃんと主張しているのです。
夜のメニューを見ると、茶美豚の西京蒸しや黒毛和牛のせいろ蒸しなど興味をそそるふかし料理が並んでいます。これはやはり夜にもう一度くるべきだと思ったのです。
同行の友人が食したうどんといなり寿司セット。
おぼろうどんといなり寿司。このいなり寿司は一ついただきましたが、ボリュームたっぷりでうれしいかぎりです。
饂飩とふかし料理 はたごはん
大阪市北区西天満1-7-12 トミィビル1階
06-6311-0014
投稿者 geode : 04:40
2007年05月01日
「カフェ・ヴェルディ」 京都・下鴨 珈琲
京都で時間があると立ち寄る珈琲店が下鴨本通北大路下ルの
「カフェ・ヴェルディ」。
数年前、雑誌『カフェスウィーツ』でこの店のことを知り、訪れたのが最初でした。
雑味がなく、ふくよかな香りとともに喉を通りすぎる心地の良さ、そしてほのかな甘みが口のなかに残る素敵な珈琲であったのです。オーナー・続木義也さんとの会話も楽しく、すっかり気に入ってしまったのです。
珈琲界に大きな影響を及ぼす「カフェ・バッハ」での修業を終えての独立。珈琲に対する知識が半端ではないのです。加えて、その解説が正鵠を得ているというか、非常に分かりやすいのです。
とうとうここが開催する「珈琲教室」に参加するようになってしまったほどです。
その「カフェ・ヴェルディ」の続木義也さんを『あまから手帖』の連載「僕を呼ぶ店」で取材することになりお邪魔したわけです。
これは7月号(6月23日発売)掲載です。
カウンター後の置かれた珈琲豆。整然とした風景も御馳走です。
珈琲を淹れる続木さん。
左手を腰に当てるのは身体を安定させるためと、いつも変わらぬ姿勢です。これは大切なこと。
ペーパーフィルターのドリップですが、この見事なふくらみ具合。
すっきりした珈琲。
いつも変わらぬ温度をはじめコンディションが変わらないというのが素晴らしいプロフェッショナルの仕事です。
続木さんは、街の情報に長けておられるのでいただくネタも多いです。
カフェ・ヴェルディ
京都市左京区下鴨芝本町49-24
075-706-8809
投稿者 geode : 09:15
2007年05月01日
「上賀茂 秋山」 京都・上賀茂 和食
昨年2月、北山通りから北へ上がった上賀茂の住宅街に忽然と姿を現した「上賀茂 秋山」。民家を改造した和食店である。
「精米したての米を北山の湧き水を使い土釜で炊きたい」というのが開店するにあたって主・秋山直浩さんの思いであった。野菜も然り、上賀茂を中心とした野菜が揃う。昨年のゴールデンウィークを超す頃から一気にブレーク。
この日は、大阪の若い料理人達と昼食に出掛けた。
先付に
大原野で採れた筍が出たのですが、写真を撮るのを忘れてしまいました。
椀物は
↓帆立のしんじょう 大原のからすのえんどうにこしあぶら。
帆立の旨みと野菜の青味がいい味をだしている。
八寸は
↓鯛の子の旨煮、すずきの酢洗い、かつおのたたき(藁でいぶす)など。
かつおのかおりにうっとり。
↓タコと春キャベツとハコベ
タコの凝縮した味に春キャベツのしゃきっとした食感にハコベの匂い。
↓地鶏と新たまねぎのすき焼き
これが、炊きたての御飯と一緒に出てくるのです。つまりおかず。
このセンスが見事です。御飯だけではさみしい。おかずが欲しいという気持ちを満たしてくれるのです。
御飯は土楽さんの土釜です。
炊きたての甘さたるや、舌が正直に反応し小躍りします。
地鶏は、玉子を入れ、御飯にかけると親子丼にもなるのです。
また御飯はおこげも。
そのとき、塩や自家製味噌が出て、つい3膳おかわりということになってしまいました。
よもぎ入りの柏餅で締めとなりました。
夜なら、待合いのところでお菓子とお薄を頂くことになります。
カウンター越し、秋山さんとの軽妙な会話のやりとり。
それが楽しくて、また訪れたいなと思う。
一見、素朴に見える料理の数々ですが、その組み合わせやコースの組み立てなどなど、生来の感性の素晴らしさがきらきらと輝いているのです。ホント、和食の世界、京都は次々と新たなスタイルが生まれてくるのです。
上賀茂 秋山
京都市北区上賀茂岡本町58
075-711-5136
投稿者 geode : 02:26