2022年12月26日
2022年 門上武司のベスト5
発酵という言葉が流通するようになってきた。
発酵文化が日本の特徴のようにも語られる機会も多い。
発酵は人類が生み出した二番目の調理法でもある。
当然のことながら焼くが第一の調理法。煮たり、蒸したり、揚げたりするには容器が必要となる。しかし発酵は自然界との交流でもある。
地球上の微生物の働きによって食材が変化し、人間にとって有用に作用することである。
私における発酵の記憶は、おそらく「徳山鮓」から始まる。日本発酵研究所が余呉湖の側にあり所長の発酵学者・小泉武夫さんの薫陶を受けた徳山さんが発酵をテーマに始めた「徳山鮓」の存在は大きい。
そんな発酵が印象的な一年であった。
No.1「ACiD brianza」東京 麻布十番
今年6月にオープン、発酵技術を駆使した「フレンチXノルディック」
北欧のレストランで修業を重ねた児玉智也シェフの料理は興味深いものがあった。
発酵から鱧を使った茶碗蒸し。中に鱧は入るが、そこにコンテチーズの旨みと発酵した野菜の風味が生きていた。
No.2「Restaurant Naz」軽井沢
イタリアン×北欧料理と標榜するレストラン
ここでも発酵は記憶に残る。ビーツだけを使った一品。
ビーツを発酵させピュレに、ビーツをソルベに、そして常温のビーツというようにビーツを3種類の調理法で食べさせる技術の高さに感動。
No.3「エスキス」 東京 銀座
シェフのリオネル・ベカは料理を発想するときに、食材ではなく土地の思い出や情景から考えるという。今年ベスト1のフランス料理でもある。
秋の鹿料理。ややジビエ感の強い香りを有するが、それをマスキングするために塩麹でマリネしたという。そこへたどり着くまでのシェフの考えるだけでも楽しい一皿。
No.4「チェンチ」京都 岡崎
確実に新たなステージに駆け上った坂本シェフ。本人も「今の僕の料理を食べてほしい」という強いメッセージがあった。イタリア、京都という枠から脱却し、自由な発想が生まれたようだ。そこでは雲子のフリット。ソースに鮎の魚醤、黒麹など発酵の力を借りたものが含まれる。
No.5「Lega」奈良 葛城
今年3月オープン。葛城周辺の素材を大切にするイタリアン。
大和肉鶏のコンソメとほうじ茶から始まり、奈良への愛情を感じる。
そこで出された生ハムの柿の葉寿司。
視覚的にはまさに柿の葉寿司。中に生ハムの寿司。この相性の良さに驚きを覚えた。
いつも門上武司のおいしいコラムをお読みいただき
ありがとうございます。
明日(12月27日(火))より2023年1月5日(木)まで、
コラムはお休みとさせていただきます。
2023年1月6日(金)より再開いたしますので
どうぞよろしくお願い申し上げます。
YouTubeチャンネル「Round Table」=====
★ 【新着】和田有史(立命館大学食マネジメント学部教授)
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辻 邦浩(音響空間デザイナー)
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梶高明(梶古美術)
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中川政七(株式会社中川政七商店代表取締役会長)
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村田吉弘(株式会社菊の井/NPO法人日本料理アカデミー理事長)
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======協力:株式会社マイコンシェルジュ
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2022年12月23日
「神戸元町別館牡丹園」 神戸・元町・中華料理
中国広東料理を食べるなら、まずこの店が頭に浮かぶ。
この日は事務所の忘年会。
メニューはお任せとした。
皮付き豚の焼き物
皮のパリッとというかガリッという歯応えが強固である。
あとに続く豚肉の脂身の甘味、そしてしなやかな味わい。
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2022年12月22日
「フェ・デ・ネージュ」 鳥取・青葉町・フランス料理
雪化粧の鳥取駅からタクシーで10分強。
「ラメゾンブランシュ」に併設するフレンチレストラン「フェ・デ・ネージュ」がある。
白を基調とした清潔感あふれる店内。
マダムが丁寧にドリンクやメニューを説明してくれる。
「寒いので温かいスープから始めさせていただきます」との言葉。
この配慮というか気遣いは見事だと感じる。
菊芋のスープ
スモークの泡
言葉通り暖かく、菊芋の味わいは豊か。
スモークの泡は微かなに香りを発する。
食材がテーブルに置かれるのも一興。
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2022年12月21日
「みつき」 鳥取・末広温泉町・日本料理
鳥取には年に数回足を運ぶ。
今回はスーパーはくとに乗り、鳥取に向かった。
智頭を過ぎた頃から一面の銀世界となった。
夜は噂に聞いていた割烹「みつき」に伺う。
カウンターに3組 6名であった。
この季節、松葉蟹が供される。
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2022年12月20日
「しなと み」京都・河原町丸太町・日本料理
単品で注文できる料理店を教えて欲しいというリクエストが増えてきた。
その時に数軒、おすすめするのだが、ここ「しなとみ」もその一軒。
カウンターと奥に小さな個室あり。
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2022年12月19日
「瞬」 静岡・有永・鰻料理
今年で一旦、静岡での営業を休止し、来年は京都の割烹で修業をするとのこと。すごい決断だと思う。
カウンターに7人男性が並ぶ。
まずこの鰻の各部位を見るとテンションはいやでも上がる。
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2022年12月16日
「アグリスケープ」 札幌・小別沢・フランス料理
札幌のレストラン。
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2022年12月15日
「とんかつ ふじ井」 大阪・千林・とんかつ
京阪千林は「主婦の店ダイエー」の一号店がスタートした地である。
昭和32年(1952年)のこと。
僕は小学校に入学したばかり。
当時は枚方に住んでおり、年末おせちの買い出しは千林であった。
母親に連れられ、買い物をしてお好み焼きを食べて帰る。
その様子は懐かしい思い出。
まさにそのお好み焼き屋さん(もちろん現在は閉店)の近くにある
「とんかつ ふじ井」。
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2022年12月14日
「圓融菴 小林」 京都・祇園・天麩羅
天ぷらは可能性を秘めた料理だと思っている。
調理で考えると揚げる、蒸す、焼く、余熱など様々な技法が駆使できる。
また油、衣、素材の切り方、素材への味のアプローチなどまだまだ追求するべきアイテムは無限だと思う。
「圓融菴 小林」の小林さんは、それを追い求める料理人。
小林さんは、日本料理と天ぷらを多彩に提供する。
この日もせこ蟹から始まった。
適度な酸味をきかせた味わいに季節を感じ、気分が高揚だ。
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2022年12月13日
「カレーやデッカオ」 大阪・南船場・スリランカカレー
心が豊かになるカレーであった。
一つはスリランカという言葉に惹かれた。
というのは、初めての海外旅行がスリランカであった。
そしてここ「カレーやデッカオ」のカレーがとてもバランスがよいということが大きい。
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2022年12月12日
「餐華」 大阪・西天満・中国料理
今年の9月、西天満にオープンした中国料理店「餐華」。
料理長は髙橋良輔さん、41歳。
辻料理師専門学校卒業後、教員として学校に残り後進の指導に当たる。
数年市内の中華料理店の店長をつとめ独立。
前菜の6種盛りから始まる。
窯焼きチャーシュー
牛ホルモン
バイ貝のビールスパイス煮
落花生の塩茹で
鶏モツと麩の香料煮
ヨコワの塩炙り ニンニクソース
中国料理の世界に一気に引き込まれる献立である。
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2022年12月09日
「シンプルズ」 静岡・葵区・イタリア料理
イタリア料理と書いたが、その領域ははるかに超えている。
焼津の「サスエ前田魚店」の魚をメインとした井上シェフの世界が広がっている。
この日は「サスエ前田魚店」の前田尚毅さんと「サカエヤ」の新保由伸さんとの会食。魚、肉ジャンルの尊敬すべきバトンを渡す達人である。
同じ方向を見ている人たちとの会話は刺激的であった。
アミューズから
真イカのタルト 下にはタマネギのソテー
異なる甘味の共演。
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2022年12月08日
「天菊」 福井・順化・天ぷら
福井県で天ぷらを食べた。
タベアルキストのマッキー牧元さんが、この「天菊」という天ぷら屋さんのことを褒めておられた。
福井県へゆく機会が増え、昼時に訪れるチャンスとなった。
小体な店だ。
歴史を感じ、美味いもんの匂いがする。
海老が揚がる
衣はそこそこ厚く、レア感が嬉しい。
つまり芯の部分から弾ける甘味がいいのだ。
これで安心感を覚える。
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2022年12月07日
「壱 ニノマエ」 兵庫・芦屋・日本料理
「壱」と書いて「ニノマエ」と読む。
壱は二の前だから、である。
勢いがある割烹。わずか6席だが、ご主人と奥様のエネルギーが溢れている。
柚子釜に入ったセコガニ
大根の甘酢、柚子ゼリー、生の筋子、紅芯大根
この一品の押しの強さ。
主人の思いの深さを感じる。
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2022年12月06日
「イルフィーロ」 京都・木屋町御池下る・イタリア料理
入り口にはまるで割烹のような暖簾がかかる。
店内はカウンターと奥に個室がある。
カウンターに3人腰を落ち着ける。
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2022年12月05日
「食堂おがわ」 京都・河原町四条・日本料理
気分が落ち着く店がある。
しかし予約は困難、いつも誰かの予約に紛れることになる。
今回もありがたいことに席をいただいた。
18時スタート。
ナマコのみぞれ和え
ナマコのコリっとした食感、大根の苦味とつゆの酸味が一体となる。
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2022年12月02日
「チェンチ」 京都・岡崎・イタリア料理
「なんか吹っ切れたように思うのです。イタリアや京都という枠を取り払ったところでの料理です」とオーナーシェフの坂本健さん。
京都でイタリア料理を作る意味などを考え抜いた坂本さん。
これまでとは異なるベクトルを持った料理人などとの交流を重ねた中で、確実に新たな世界が見えてきたように感じる。
知性と洗練、という言葉が坂本さんの料理を食べ、浮かんだ。
7種のハーブがか入った温かなお茶から始まる。
気温が下がり、胃袋にも優しい始まりである。
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2022年12月01日
「とんかつ 喜多呂」 大阪・本庄東・とんかつ
ずっと気になっていたとんかつ店「とんかつ 喜多呂」。
ようやく暖簾をくぐることができた。
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